登録販売者の働き方
2024-05-10
ドラッグストアの店長の仕事は激務?仕事内容や求められるスキルを解説<登録販売者向け>
・Before
・After
ドラッグストアで正社員として働く登録販売者のなかには、「店長職へのキャリアアップを目指している」という方も多いのではないでしょうか。 今回は、ドラッグストアで店長になるにはどうすればいいのか解説のうえ、店長の仕事内容や激務と言われる理由、必要なスキル、キャリアアップの選択肢、異動などについて解説します。今後のキャリアアップを考える際の参考として、本記事を役立てていただければ幸いです。
ドラッグストアの店長になるには?キャリアアップの流れ
ドラッグストアにスタッフとして配属されると、まずは販売担当として次のような業務を行います。
- 接客、レジ打ち
- 品出し、検品、商品の棚卸し
- 売り場作り、店内の掃除
- 商品の発注、返品対応
ここから店長として店舗を任されるようになるためには、日々の多忙な業務のなかで店舗運営に必要なスキルを身につけていかなければなりません。
まずは、お客さまと直に接しながら悩みやニーズを汲み取り、売り場や日々の接客などをブラッシュアップして、お客さまの信頼を獲得できるようになる必要があります。
その成果を店舗の売上につなげて店長候補として実績を残し、企業によっては「店長昇格試験」などを経て、店長へとキャリアアップします。
働いているドラッグストアで「店長候補者研修」などを行っていれば、店舗運営に必要なマネジメント力を身につけるために積極的に活用しましょう。
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店長への昇進は、登録販売者資格があると優遇される?
店長への昇進において、「登録販売者」と「店舗管理者」は優遇されます。
●登録販売者資格
ドラッグストアに勤務するうえで、登録販売者資格は必須ではありません。
しかし求人票を見ると、店長候補の応募要件として登録販売者資格を明記している企業も多く見られます。
社内でのキャリアアップのみならず、転職にあたっても有利な資格と言えるでしょう。
●店舗管理者
登録販売者が優遇される理由の一つは、要件を満たせば医薬品販売の責任者である「店舗管理者」になれるためです。
店舗管理者とは、店舗に勤務している薬剤師や登録販売者、そのほかのスタッフの監督や医薬品・医療機器などの管理業務を行う役割を指します。
店舗管理者が店長を務めるケースが多いため、登録販売者資格をもっている方が店長候補などに選ばれやすいというわけです。
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ドラッグストア店長の仕事内容について解説
店長の仕事内容は店舗管理全般で、接客やレジ、品出し、売り場づくりなどの通常業務に加えて、売上管理やスタッフのマネジメントなどが求められます。
ここではドラッグストア店長の業務内容について、詳しく見ていきましょう。
店舗運営・売上管理
店長は、決められた予算や目標に応じた利益を出すことが求められます。
より高い利益をあげるために、季節や地域に合った販促方法・販売戦略を考えます。
ここには売上だけでなく、人件費や消耗費などの経費も組み込まなければなりません。
少しでも売上げをアップさせるために、常にアイデアや方法を模索し続けます。
また、在庫管理も店長の仕事です。
発注量が多く在庫過多になると、商品の回転率が下がり売上げが低迷してしまうでしょう。
逆に発注量が少なすぎると、欠品を起こしてしまい、売り損じが生じることもあります。
そうなればお客さまのニーズに答えられず、客足が遠のく可能性も。
店舗経営は、予算や目標に応じた利益を追求し、販売戦略や商品管理を行っていく重要な業務なのです。
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スタッフのマネジメント
店長になると、多くの従業員をまとめる立場になるため、必然的に人材のマネジメントを行わなければなりません。
店舗には、自分以外に約2~4人の社員とパート・アルバイトスタッフがいるケースが多く、具体的に以下のような業務を担います。
●目標設定
事業者にもよりますが、社員は医薬品や化粧品など部門ごとの担当となります。
その部門ごとの予算を達成するために目標を設定し、目標達成に向けて売り場づくりや販促のテクニックの指導を行います。
社員の目標達成率やそれに至るまでの行動などを評価していくことも、店長の仕事です。
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●シフト作成・管理
パートやアルバイトスタッフのシフトも店長が組みます。
採用時にシフトを入れる曜日や時間は決まっている場合がほとんどですが、体調不良などで勤務できない日もあるでしょう。
人件費にも予算があるため、人員の調節も大事な仕事の一つなのです。
人員が十分な店舗なら店舗運営に力を注げますが、人員の少ない店だとそうはいきません。
通常業務をこなしつつ、これらの店舗管理業務を行う必要があり、プレイングマネジャー的な役割を担います。
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●イレギュラー対応
加えて、クレームやトラブルなどイレギュラーな対応も必須です。
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ドラッグストア店長の1日のタイムスケジュール
一例として、ドラッグストア店長の1日のタイムスケジュールを下記に紹介します。
<ドラッグストアAに勤める店長の1日>
本部やエリアマネージャーからの指示を確認。ならびに、レジの立ち上げやのぼりの設置、店頭に出す商品の陳列を行います。
業務の流れや本部からの指示、当日の売上げ目標などの必要事項をスタッフに伝達します。
商品入荷、品出し。この間にはお客さまへの接客も行います。
午後から勤務するスタッフへ必要事項を共有します。場合によっては、スタッフとミーティングを行ったり、メーカーと商談や勉強会を行う場合も。
社員やパートスタッフの人材育成や指導を行います。また、同時に売り場で商品の補充や発注業務、売り場づくりなどを行います。
日報を作成し、営業報告をエリアマネージャーや本部に報告。本部からの情報をチェックし、遅番のスタッフに引継ぎを行います。
接客やレジ、品出しなどの通常業務と店舗運営に関わる業務を並行して行い、退勤。
このほか、ドラッグストアの多くは、店長や管理職を集めて定期的に「店長会議」を実施しています。
こちらの記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
ドラッグストアの「店長会議」では何をしている?有意義な時間にするコツや注意点も解説
ドラッグストアの店長が激務と言われる理由とは?「働き方改革」は進んでいる?
ドラッグストアは営業時間が長く、取り扱う商品の数も多いため、激務なイメージをもっている人も多いのではないでしょうか。
ドラッグストアの店長の仕事が激務と言われるのには、次の5つの理由があります。
(1)対応するべき業務の幅が広く、労働量が多め
前述の通り、ドラッグストアの店長は店舗の運営や経営を担う一方で、現場の業務やヒト・モノ・カネの管理が求められるためにどうしても多忙になりがちです。
(2)シフトが不規則かつ拘束時間が長くなりやすい
ドラッグストアは営業時間が長い店舗が多く、それを管理する店長の残業時間も多くなる傾向にあります。
また、シフト制で早番・遅番の両方に対応する必要があるため、疲れがたまりやすいようです。
(3)店舗責任者であるため責任が重い
店舗の責任者であるため、トラブルなどがあれば対応する必要があります。
また、繁忙の土日祝日やお盆、年末年始の連休などにはお休みを取りづらかったり、パート・アルバイトが足りない日には、代わりに対応せざるを得ない場合もあるようです。
役職手当がつくぶん、サービス残業や休日出勤に対応しなければいけなかったり十分な残業代がつかなかったりする状況に悩む人も多いようです。
(4)売り上げを出すことや実績が求められる
前述の通り、店舗を任されている立場なので、継続的に売上を出し続けることも求められます。
(5)店舗運営についての報告業務がある
店舗の売上状況の報告など、本部とのやりとりなども発生します。
具体的には、エリアマネジャーや本部に対して日報を送ったり全社会議に参加したりといった業務が出てくるでしょう。
どうしても激務で自身での改善が厳しい場合は、まずは本部などに相談してみてください。
それでも改善されない場合は、転職を検討してみると良いでしょう。
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ドラッグストア店長によくある悩みとは?解決のヒントも!
これだけ見ると、ドラッグストアの店長は激務に思えますが、近年では大手ドラッグストアを筆頭に働き方改革が行われています。
残業時間の削減を図っていたり、サービス残業を行うと社内で罰則を受けたりする企業もあるようです。
また、人員の充足や、リフレッシュできる連休制度が整備された企業も増えています。
職場によって店長の働き方や待遇が異なるため、自分のライフスタイルに合わせて企業を選ぶと良いでしょう。
大変な面もありますが、店長は店舗やスタッフの成長、さらに目標達成の喜びを実感できる仕事です。
年齢を問わず活躍でき、実績を出せば評価され、給与面などの待遇アップも期待できます。
責任を伴いますが、その分やりがいも大きいと言えるでしょう。
ドラッグストアの店長に必要な資質やスキル
では、ドラッグストアの店長業務をこなすために必要な資質やスキルには、どのようなものがあるのでしょうか。
マネジメント力(指導力/コーチングスキル)
まず、店舗のサービスの質を向上し売上げを伸ばすには、個々のスタッフの能力を高めていく必要があります。
そのためには、スタッフの長所や短所を理解し、得意なことを伸ばして成長させる「指導力」や「コーチングスキル」を身につけなければなりません。
「スタッフの指導が上手くいかない…」と悩む店長は少なくないでしょう。
やみくもにスタッフを教育しても成長につながらないだけでなく、スタッフを定着させることも難しくなってしまいます。
スタッフは性格や思考などが個々に違います。
円滑にコミュニケーションをはかり、スタッフの個性に合った指導を行わなければいけません。
スタッフや社員との関係が良好だと、離職率も低下し、店舗にスタッフが定着する良い循環が起こります。
すると人員を育てるための人件費の軽減やサービスの質が向上し、利益の上昇が見込めるでしょう。
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マーケティング力
店舗を運営していくために、日々の利益を追求することも大切な店長の仕事です。
売上げを伸ばすために、地域のお客さまの購入傾向を調査・分析する「マーケティング力」が必要です。
販促の方法や商品のラインナップ、価格設定などを分析し、新たな策を実行していく能力も求められます。
財務管理能力、その他
売上げだけ考えても、利益向上を目指すことはできません。
「財務管理能力」も店長に求められる資質のひとつです。
利益を追求するなかで、予算内の経費を上手く削減し、店舗を運営していく能力も必要となるでしょう。
そのほかにも、店舗の繁閑に合わせたスケジュール管理や適切な在庫管理など、店長としてスムーズに店舗運営を行うために必要なスキルは多岐にわたります。
転職コンサルタントが回答!ドラッグストア店長に関するよくある質問
ドラッグストア店長の働き方は企業や店舗によって異なることが多いため、「実際に働いてみないとわからない…」とお困りの方もいるでしょう。
ここでは、そうした店長に関する質問に「チアジョブ登販」の転職コンサルタントが回答します。
ドラッグストア店長の給料・年収はいくら?
ドラッグストア店長の平均的な給料・年収は 450万~550万円ほどです。
一方で、年収600万円以上の店長職の方もいます。
所属する企業や店舗、地域によっても給料は大きく異なるため、店長候補の求人票を参考にしましょう。
こちらの記事では、店長の給料・平均年収をエリアごとに紹介しています。
ぜひあわせて参考にしてみてください。
ドラッグストア店長の平均年収は?転職コンサルタントが指南するさらなる年収アップの方法
ドラッグストア店長の異動の時期や頻度は?
店長の異動時期や頻度は企業によって異なりますが、ドラッグストア業界は比較的異動が多いと言われています。
異動の頻度は1~2年ごとに1回、時期は年度変わりの2月~5月頃が多いようです。
ただし、欠員補充や新店舗のオープンのためそれより早く異動になるケースもあります。
大手ドラッグストアチェーンなどでは、異動する範囲を限定する働き方も可能です。
異動をあまりしたくないという方は、所属する企業や転職で志望する企業に、そうした仕組みがあるかどうか、確認しておきましょう。
ドラッグストア店長は若い?なれる年齢は?
ドラッグストアでは若くして店長になっている方が多くいます。
この要因の一つは、店舗拡大を進めているドラッグストアチェーンが多く、店長職のニーズが高まっているためです。
たとえば大卒で新卒入社の場合は、入社から3~5年後の25~27歳前後で店長に昇進するケースが多いようです。
ただし近年では、年齢ではなく実力を見てキャリアアップを進めるケースが増えているため、この年齢より若くして店長になる人もいます。
ドラッグストアの店長はキャリアアップで何を目指す?
ドラッグストア店長のキャリアアップとしては、次のような選択肢があります。
- エリアマネージャー・SV(スーパーバイザー)になる
- 本部で働く(人事・採用/バイヤーなど)
- 起業、独立する
- 同業種へ転職・異業種へ転職
それぞれの働き方や役割、求められる能力は、次の記事で解説しています。
「キャリアプランの立て方」や「転職のポイント」なども詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
【店舗運営のプロに聞く】ドラッグストア店長のキャリアプランを考える<プロに学ぶ登録販売者のマネジメント論>
大変だけど、やりがいも大きい仕事
ドラッグストアの店長の大切な仕事は、日々の営業利益を追求していくことです。
そのためには、店舗運営に関するマネジメント能力が求められます。
もちろん、接客や売り場づくりなどの基本的なスキルは必要ですが、売上や利益を伸ばしていくためのマーケティング力やメンバーへのコーチングスキルも重要視されることになるでしょう。
店長は、ほかのスタッフと同じように通常業務をこなし、店舗マネジメントも行わなければなりません。
店舗のトップとしての責任も重くなるため、精神的な負荷はそれなりにかかる仕事でしょう。
しかし、目標を達成したときや部下の成長が見られたときの喜びはひとしおです。
やりがいの大きい仕事なので、日々自己研鑽に励み、店長へのキャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。
チアジョブ登販でも「店長候補」の求人を多く紹介しています。
未公開求人などもあるため、ぜひ一度転職コンサルタントにご相談ください。
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